バイルシュミット中佐と本田少尉
詳しくはポイぴくになげてたりします。
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***
『fast move』
ギルベルトの執務室。応接用ソファーには金髪の美丈夫が足を組んでいる。
「お前さ、また補佐が辞めたんだって?」
その言葉に書類を片付けていた手が止まる。
「自分に厳しいのは結構。だけど自分を補助してくれる副官にも厳しくしなくたっていいんじゃない?」
「十分譲歩してるぜ。最近の教育がなってねぇだけだ」
「あ~やだやだお堅いゲルマンはこれだからもう…」
「おしゃべりだけならとっとと戻れフランシス。お前もそんなに暇じゃねーだろうが」
「そうそう。お兄さんもお前と同じで忙しいんですよ本当は。でも不器用な同僚も心配でさ。
そんなわけで『お前の』お眼鏡に適いそうな子を選んできたから」
「…あ?」
「入っておいで」
「失礼します」
低い声とノックの後にゆっくりと扉が開き、入ってきたのは背の低い―
「本田菊少尉。別のところから引っ張ってきたからまだ仕事内容は覚え途中だけれど、お前の補助として十分役に立つよ」
「ガキじゃねーか!どういうことだ!」
「ちなみに、『上』の命令」
「…いよいよ気が狂ったか」
「お兄さんとしては『あり』だと思うな~。そんじゃま、頑張ってね少尉~」
「ヴェアパス(軍隊手帳)を確認する」
「あ……はい。こちらになります」
(発行は二年半前、受賞歴は剣付二級戦功十字章、ヴェルダン戦線従軍記章に白兵戦章。二年で三つ、そのどれもが最前線…
『お飾り』に花を持たせるにしてはやりすぎだ)
「前部隊はどこだ」
「え、と『Engelsseufzerエンゲルズゾイフツェン』です……」
(『天使の吐息』―? 聞いたことがねぇな。フランの野郎、一体どこから引っ張ってきやがったんだ)
「部隊のことはあまり他言しないように、と言われていますので、これ以上は…」
「ならお前はそんなやつに命を預けられるんだな。俺はお断りだ。傍に置く気はない。ここから出ていけ」
「……」
(ヴェルダンには俺もいた。だがこんな少年兵を従軍させるなんて言うのは聞いていない。偽造にしては浅はかすぎる。ましてや認証者は准将だ)
「……アーネンエルベ研究所より編成された、特殊戦術部隊『エンゲルズゾイフツェン』……です」
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