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年の春は天候が悪く夏も冷夏になるという予想などどこに行ったのか、まだ八月にもなっていないのに茹だるような暑さが続く。三十度を越えただけでも珍しかった昔を思いだし、やめた。縁側の木陰に座りパタパタと団扇を扇いでいると上半身を裸のままギルベルトが此方に腰かけてきた。
「あーっちいー…お前んとこそんなに高いとも思わねぇのになんでこんな汗でんのがわかんねぇ」
暑いならもう少し距離をとればいいのに自分のすぐ横に座っている男の身体をふと盗み見る。と、背中にある赤い引っ掻き傷に気がつき一気に体温が上がる。
「…湿度が、高いからですかね…イタリア君のところには行かないのですか?」
赤い顔に気がつかれないようにそっとそらす。
「あー去年はルートと行ったけどなぁ。誰かさんが来ないおかげで独り楽しい旅行だったぜー…ってなに顔逸らしてんだよ!ちくしょう。笑ってんのか?」
「わ、笑ってなど、…!」
失敗した。と思うと同時に肩を掴まれ体ごと彼に向かうように動かされれば、逃げ場などない。
「……………お前、かお
「貴方が処構わずそんな格好でいるから悪いんです。いい加減上衣を着てください。」
またいつものようにからかわれるくらいなら認めてあたった方がまだマシだ。扇いでいた腕を止めジト目で睨み付けると、あの意地の悪い笑みを浮かべた。
「ケセセ…昨日、誰かさんが思いっきり引っ掻いてくれたおかげでまだヒリヒリすんだよ。」
「…?!!それはっ……その…っ」
大失態だ。これでは何も言い返せない。赤い顔でモゴモゴしていれば男らしい骨ばった掌で顔を触れられる。
「…独り楽しい避暑旅行より、あっちいけど引きこもりじじいと一緒に居た方がいいに決まってんだろ?」
見つめた其の顔が、ほんのりと色付いている気がした。

初出ツイッター/2009年か2010年頃

鬼灯01鬼灯02
2018/07/29(日) 00:26 ぷにち PERMALINK COM(0)
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